一期一会でお別れするような御縁と違って、家族の場合は切っても切れない関係だけに、

「思いやり」の心を磨くために必要な相手といえます。

 家族の間で、相手の立場を思いやりゆるすことで、無償の愛のトレーニングをさせて貰えるのです。

 楽しく幸せに暮らすためには必要不可欠な「相手の心を受け止める勉強」を、家族だからこそできるのです。

ところが、密着しすぎているせいか、他人様には「ありがとうございます」と感謝の気持ちを素直に伝えられるのに、長年同居している舅（しゅうと）や姑（しゅうとめ）、夫や子どもたちには、なぜか「ありがとう」と口から出ない傾向があります。

その心の奥には「嫁、妻、母として、私はこんなに一所懸命尽くしているのだから、あなたたちから感謝してもらって当然」というおごり、あるいは、「気恥ずかしい」、「言わなくても伝わっているはず」、「家族に言うなんて面倒」といった気持ちがあるのかもしれません。

そこをちょっと反省して、言葉に出してみましょう。

喧嘩をしたり、慰め合ったり、言いたいことを言い合い、時には依存し合い、甘え合いながらも、

小社会の中で磨き合っていくのが家族。

そのために「ありがとう」は、潤滑油となります。

「とてもいい練習台になってくれて本当にありがとう」と思い直し暮らしていくと、感謝の言葉が自然に出て、家の中が温かい雰囲気に包まれてきます。

自ら「ありがとう」を発することで、お子さま達はその姿を見て学んでくれるのではないでしょうか。

「ありがとう」は幸せを運ぶ魔法の言葉です。