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視覚的補助の有効な使い方

2022.04.24 | Category: 生活のアイデア

視覚的補助の有効な使い方

 かつて、自閉症の療育とは、視覚的構造化がひたすら強調されました。視覚的構造化とは、例えば、服を着るときに、着る順番に従って衣類を吊るしておくようなやり方です。このように環境そのものをやるべきことの順番を見えるようにしておくと、自閉症の子どもたちでも、迷うことなく、行動できると考えられました。
 しかし、視覚的構造化を徹底すると、自閉症児は一人で楽にできてしまい、親との間でコミュニケーションを持たなくても済むようになってしまいます。このように、たった一人のカプセルの中で困らずに行動できるよりも、親子の間で助けを求めたり、質問をしたりというようなことが起こるようにした方が、自閉症児のコミュニケーション能力を伸ばすと考えられるようになりました。
 ただし、限定された問題の中では、自閉症児に目で見て理解できるように視覚化してあげた方がよいとされる領域もあります。
 例えば、「スケジュールを視覚化して、子供にこれから起こる事を理解させるために使う」がその一つです。
 子供が様々なものに関心を持つようになったら一日のうちの異なる時間帯による4つか5つの視覚的対象でスケジュールを作成することが出来ます。その活動を象徴するものを子供に見せて何をするのかを伝えましょう。子供が活動を完成したら対象を「おしまい」コンテナー(ただの箱で十分です)に入れます。
 お子さんによっては、次に何をやる事を期待されているのかが分からずに今の行動を切り替えることが出来ない場合があります。次の行動と子供が結びつけることが出来る視覚的対象を提供すると移行が容易になります。例えば、公園に行こうとするときにボール(現実のボールも一つの視覚的対象です)を与える等です。一つの行動に夢中になっている子供に移行を促すためにはこの戦略は有効です。幼稚園などで、子供が次の行動に移らないときに、家庭でその行動に結びつくような対象を使って移行をするようにさせておくと有効です。
 視覚化するには、実際の対象、現実的な写真、果物が入れてある袋のラベルや玩具のパッケージから切り取ったラベルを使うのが良いでしょう。対象を子供のルーティンや活動に結びつけられるよう、朝食の前にジャムの瓶を示すなど、「何が起こるのか」とんうことを予想しやすくさせる対象が望ましいです。対象を活動を表すものとして使うことも出来ます。それによって子供は特定の出来事とその一つの特徴を結びつけることが出来ます。例えば、「ジュース」と言うときに同じコップを持ち出す、等です。そのうち、子供はこれらのものを自分で持ってきて大人に何かしてくれるように頼むかも知れません。

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